戸恒浩人さんインタビュー風景01

ー  照明デザインの話になると、優しい笑顔で楽しそうに話してくれる戸恒さん。

東京スカイツリーの外観照明を手掛けた照明デザイナー・戸恒さんがオススメする、とっておきのイルミネーションスポットとは…。

「 人の心を掴むストーリーのあるデザイン 」

Q.デザインをするうえで、大切にしていることはありますか?

建築家に空間のコンセプトを聞いて、その雰囲気を察して、それを実現するためのデザインを提案しています。コンセプトを明確にして、それにぴったりと合った照明を作ると、見る人の心を掴むことができるんです。
ライトアップの場合は自由演技に近いので、見る人に「こういうことを感じて欲しいな」というストーリーを作ります。最初は足元を暗くして、遠くに青い光を灯す。すると見る人は「何だろう?」と思って進みます。青い光の下にはビックリさせるような演出を施す。そういった抑揚を作るんです。照明とは、そういった演出ができるんですよ。

Q.私たちがより照明を楽しむポイントはありますか?

どういう空間に住んでいるかにもよりますが、ホテルやレストランなどに行って、様々な照明を体験することです。そして、自分の好みの照明を見つけてください。どんな明るさが好みか、どんな色の照明が心地よいのかを感じて、生活に取り入れると良いと思います。
土地が広い海外では、食べる部屋、寝る部屋、寛ぐ部屋と目的別に部屋があり、用途に合わせて照明を使い分ける文化が根付いていますが、日本ではこれからですね。
しかし、少子化が進み、以前よりも空間が広く使えるようになりました。これからはご家庭でも、もっと照明を楽しむ時代が来るのではないでしょうか。

戸恒浩人さんインタビュー風景02

ー  戸恒さんオススメのイルミネーションはやっぱり東京スカイツリー。「タクシーの車窓から見るイルミネーションを是非楽しんでほしいです」

「 飛行機から見下ろす東京の夜景は格別! 」

Q.イルミネーションの楽しみ方はありますか?

私が好きなのは、飛行機から見下ろす夜景です。夜、飛行機に乗る機会があったら、ぜひ、窓から街を眺めて欲しいです。その国のスケールがひと目でわかります。海外の街の夜景は、葉脈みたいに広がるんですが、東京は関東平野が広がっていることもあり、全方向に光が広がっていて、密度が濃いんです。
工務店さんやハウスメーカーさんも照明デザインを勉強するようになったからか昔に比べて、眩しい光は少なくなり、東京の夜景は優しく美しくなりました。

Q.戸恒さんは日本交通さんの「東京イルミネーションタクシー2017」の監修もされていますね。
都内のオススメのイルミネーションコースを教えてください!

みなさんに是非体験してもらいたいのは、常磐道を北側から南下して向島を走るコースです。向島を過ぎる辺りで、一瞬、スカイツリーが消えるんですが、そのあとにドンっとダイナミックに現れます。みなさん、スカイツリー見たさに車をゆっくり車を走らせるので、その辺りは、渋滞することが多く、スカイツリーをゆっくり眺めることができるんです。見えていたものが急に見えなくなって、また現れる。これも偶然が作り出した「ストーリー」だと思います。

東京イルミネーションタクシー2017…日本交通の東京観光タクシーの期間限定プログラムの一つ。イルミネーションの季節、日没後に都内のイルミネーションスポットを巡る。今年から戸恒さんが監修を行っている。

戸恒浩人さんインタビュー風景03

ー  「日本のタクシーはサービスも乗り心地もダントツでいいですね!」海外と行き来する戸恒さんの発言には説得力があります

「 照明デザイナーとして、これからのタクシーに求めるもの 」

Q.戸恒さんが、タクシーにこれから求めるものは?

夜中にタクシーに乗ることが多いので、手元に光が取れる仕組みがあると嬉しいですね。荷物も確認できるので便利だと思います。
あとは、いろいろ規制があると思うのですが、行燈も、タクシー会社によって個性があるといいのかなと思います。
都市の風景は車が作っている風景でもあるんです。その中で、タクシーが作る光って、すごく大きいんです。ですから、東京の街をステキなタクシーが走ってくれたらいいなと思います。

戸恒浩人さん

戸恒浩人
照明デザイナー シリウスライティングオフィス代表
1975年、東京都出身。
東京大学工学部建築学科卒業後、照明デザイナーの道へ。
浜離宮恩賜庭園のライトアップや、ホテル日航東京チャベル、日本経済新聞東京本社ビルなど、ホテルやオフィスビル、商業施設の照明を手がける。
2007年、東京スカイツリーのライティングデザイナーに選出。
現在は香港にもオフィスを構え、東京・香港を行き来する生活を送っている。

文:ほし友実 写真:鈴木千佳