ー イメージはビルからも。表参道はブランドそのものが展示されている。

上野をあとにし、向かうは表参道。……の前に、移動しつつ、いくらかの建築を眺めます。
ちょっと遠回りして、東京カテドラル聖マリア大聖堂。近代建築の巨匠・丹下健三氏のものです。

建築ツアー 東京カテドラル聖マリア大聖堂

東京カテドラル聖マリア大聖堂

それから2019年に完成予定、隈研吾氏の新国立競技場。
工事中でしたが、少しだけ見ることができました。

建築ツアー 新国立競技場

新国立競技場

タクシーなので、移動しながらスイスイ見れるのも、メリットのひとつ。熱中症が心配な気候でしたが、快適に見学することができました。そうこうしているうちに、表参道に到着。ここでは高級ファッションブランドのビルを見ていきます。

まずは、團紀彦氏設計の表参道けやきビルと伊東豊雄氏のTOD’S表参道ブティック。隣同士のこのふたつ。両方モチーフはケヤキの木なのだとか。同じモチーフでも、全然異なりますね。三村さんは「どっちが好き!?」なんて聞きながら解説してくれます。

建築ツアー 表参道けやきビルとTOD’S表参道ブティック

表参道けやきビルとTOD’S表参道ブティック

ブランドの特徴を体現している建築ということでは、Louis Vuitton表参道。日本のLouis Vuittonの建築ほとんどを手がけている青木淳氏の設計のものです。ファサードは、ブランドの顔ともいえるトランクをモチーフに、メタルやメッシュ、ステンレスパネル、ガラスなど、多彩な表情を見せてくれます。

Christian Dior表参道も特徴的です。こちらは、SANAAという建築ユニットのもの。ガラスと曲面のアクリルで、不思議で美しいファサードです。この日は夕方に訪れましたが、夜ライトが付いているときもまたよし、なのだとか。イルミネーションの時期に見にくるのもいいかもしれませんね。


ー 和光の時計は、本当は4面。シンボル多き銀座へ。

原宿駅の手前でタクシーに乗り込み、最後は銀座方面へ向かいます。

乗務員さんによれば、東京の道路は意外にも土曜日がガラガラとのこと。街に人が多いイメージがありましたが、渋滞もなく移動ができるそうですよ。

そんな乗務員さんから「ここは、外国人観光客の方にも人気です」と言われるのが、次の建築。いちど見たらもう夢に出る。中銀カプセルタワーです。

建築ツアー 中銀カプセルタワー

中銀カプセルタワー

設計は黒川紀章氏。都市・建築での新陳代謝「メタボリズム」を意識した1970年代の作品ということで、言われてみればたしかに「増殖する細胞」のような見た目です。
最近は老朽化が進んで来ているという話も聞きますが、140個あるカプセル型の中は住宅で、いまでも人が住んでいます。

さらに移動すると、同じくメタボリズムの時代の建築。再度登場、丹下健三氏設計の静岡新聞・静岡放送東京支社が見えてきます。
中央にある円筒形のコアにくっつくように、左右にあるユニット。中銀カプセルタワーと同じく、印象に残る建物です。

銀座についたら、タクシーを降りて。銀座にもファッションビルは多く、歩きながら眺めます。

三村さんイチオシだったのが、スウォッチグループのショールーム。ニコラス・G・ハイエック・センターです。坂茂氏の設計。

建築ツアー ニコラス・G・ハイエック・センター

ニコラス・G・ハイエック・センター

1階部分には、複数のエレベーター。7つあるそれは、各ブティックの専用となっており、直接向かうことができる見たことのないつくり。14階まで、開放可能なガラス張りで、壁面には緑化アトリウムがあります。
「1階部分が専用エレベーターだけで、外壁がないでしょう。なので、ビルの中を通り抜けることができるんです。
銀座の表通りから、このビルを抜けて裏通りに行ける。こういったものって、ちょっと珍しいし、しかし人が回遊する銀座にはすごく必要な設計だと思います」

表参道には、けやきモチーフのビルがふたつありましたが、銀座には切子モチーフのビルがふたつあるんです。ひとつは、日建設計の手がけた東急プラザ銀座。もうひとつは、クライン・ダイサム・アーキテクツのGINZA PLACE。

建築ツアー 東急プラザ銀座

東急プラザ銀座

建築ツアー GINZA PLACE

GINZA PLACE

ここでも三村さんは「どっちが好き?」と尋ねつつ。GINZA PLACEの壁面のパール塗装が、MIKIMOTOの真珠を意識したものであることなどを教えてくれます。私はGINZA PLACEの方が好きかなぁ。

最後に訪れたのは銀座のシンボル、和光。時計台の印象が強い方も、シン・ゴジラで思いっきり壊されている場面を覚えている方も、いると思いますが。歴史は古く、1932年にできたもの。
丸の内で見た第一生命館と同じく、渡辺仁氏の設計です。

建築ツアー 和光

和光

……とここまで来て、18時半。ちょうど夕暮れどきに、建築ツアーも終了。盛りだくさんのツアーでしたが(記事内に書ききれなかった建築、たくさんあります…!)、移動は全く疲れずで、充実した体験でした。
駅から遠く行きにくい場所でもタクシーだとスイスイ行けるし、プライベートな空間だから、ガイドの三村さんにも質問しやすい雰囲気でした。
次はもう少し勉強してからいっても、また違った楽しさがあるかも。他のスポットも巡ってみたいかも。様々想像しながら、終了です。お疲れ様でした!

女子3人。聞けばそれぞれ、ツアーのメリットを感じたポイントはあったようです。

3人の中では比較的建築に詳しいせとんは「詳しい解説がたくさん聞けたのがよかった!」とのこと。「対象となっていた建物だけでなく、移動中も見える建物に関しても詳しく話しを聞くことができた。専門家ならではの目線で語られる建築の評価はすごく腑に落ちたし、逆に『なんでこんなの建てちゃったんだろうね〜』って本音が聞けるのもよかったよね」。

逆に建築に詳しくなくても十分に満足だったと言うのが、あらきん。「最初に『建築に関してはどれくらいのリテラシーか』と三村さんが確認してくれたので、それぞれに合わせた説明をしてくれているように思いました。建築そのものだけでなく、建築家に関するゴシップな話なんかもあって、クスっとしてしまうような内容もありつつで楽しめました」。

歴史や社会的背景な好きなやまんは「それぞれの時代の特徴や、なぜその建築が流行ったかまでの解説が丁寧でいろんな情報がつながっていくので、知的好奇心がめちゃくちゃ満たされました」と嬉しそうで、「あと、暑い、中たくさん歩くのがすごく嫌いなので、タクシー移動はすごく快適でいいですね。涼しいし、会話が楽しい!」としっかりツアーそのもののアピールも盛り込んでくれました。

ツアーのコースは複数あり、今回ご紹介したコースの他にも、変わった建築や賞をとった建築を見て回るものもあるのだとか。前だけ見ていたら通り過ぎてしまう建築物たちも、ちょっと顔を上げれば楽しみがたくさんあるものです。ちょっと人に話したくなる学びがたくさんあるツアー。新しい東京の楽しみ方として、オススメです。


日本交通とi TRAVEL SQUAREのコラボ企画「タクシーde建築めぐり」

[ 参加料金 ]
この記事は2018年に作成されたもので、2019年10月に料金が改定になりました。
料金の詳細はこちら

*料金に含まれるもの
建築家の解説(レジュメ付き) / 水1本 / 簡単なお菓子

[ 募集人数 ]
各回とも5名様で実施
*人数が集まらない場合は、実施日の2日前にキャンセルのご連絡をいたします。

[ キャンセル規定 ]
2日前~当日 100%

[ お問い合わせ ]
i TRAVEL SQUARE
Email:info@i-travel-square.tokyo
Tel:03-6706-4700 (平日10時~18時)

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[ 講師 ]

建築家 三村大介さん(MALO Planning INC. 代表取締役)
個人住宅からオフィス、店舗、商業ビルなど、多種多様な建築物の設計を手掛ける。機能性だけでなく、デザイン性や楽しさも重視した建築物が得意。
ファストファッションで有名なZARA、StradivariusのPMも担当。現在、中国・南京市の設計事務所との共同設計による大型ショッピングモールが、中国国内に複数、建設進行中。
http://www.malo.co.jp/