伊野亘輝さん

毎月8枚まで「ましかく」写真プリントが無料のスマートフォンアプリ「ALBUS」(アルバス)の産みの親であるデザイナーの伊野亘輝さん。アプリを提供するROLLCAKE株式会社のCXOとして活躍する伊野さんのタクシーライフとは。

「 スマホの中に埋もれている写真を
家の中の宝ものにしてほしい 」

Q. まずはROLLCAKE株式会社とCXOという立場について、どんなことをしているしているのかお聞かせいただけますか。

ROLLCAKE株式会社は、クックパッドで働いていた仲間3人が、スピンアウトした形で立ち上げた会社です。日々の小さな楽しみを形にしていくサービスを作り出していて、プリントされ送られてきた写真を専用アルバムに収納していくことができるALBUSの他に、両親に写真入りカレンダーの手紙を送る「レター」など5つを展開しています。

CXOという立場は、サービス全体のデザインを統括する立場です。事業という立場でサービスを見ると、会社や会社の利害関係者の都合を優先して、売り上げを伸ばすことばかりにとらわれたり、よくわからない理由で開発したりすることになりがちです。でも、サービスは本来「こういうのがあったほうがいいな」というところから始まっているので、使う人の目線でサービスを作っていくべきだと思うんです。

もちろん事業目線で見ていくことも大切なのですが、利益追求に偏りすぎることなく、バランスよくサービスをデザインしていくために、CXOという立場でサービスを統括しています。

伊野亘輝さん

Q. 8枚まで無料でプリントできるサービス、ALBUSを思いついたきっかけはありますか。

スマホが出てきてから、みんなものすごく写真を撮るようになりました。でも、あとで写真を見直そうと思っても膨大な写真に埋もれてしまって、見たい写真に辿り着けないんですよね。とはいえ、いざアルバムを作ろうと思うとものすごく大変な作業で、私自身も1回で力尽きてしまったんです。

じゃあどうしたらいいか、というところから考えた結果、月に数枚選ぶだけで自動的にアルバムになり、宝ものとして残るのがベストなんじゃないかという結論に落ち着きました。家の中の宝ものになってほしいから、アルバムの枚数は足すことができた方がいいよね、縦横が混ざるより真四角の方がキレイに並ぶよね、などと細部を詰めていって今の形になりました。

「 乗務員さんがこちらの気配を感じてくれるから
洗練された静かな時間を過ごせる 」

Q. CXOとして、そしてデザイナーとしても忙しい日々だと思いますが、仕事でタクシーは使いますか。

使いますよ。都内は基本的にどこでも電車で行けますが、いっしょに移動する人数が複数いる時はタクシーを使いますね。「この人数がいるなら、電車で行くよりもタクシー料金を人数で割った方が安いし、ラクだよね。タクシーに乗っちゃった方が良くない?」という感じで気軽に。

あと、時間を優先する時は効率がいいのでタクシーを選びます。タクシーなら15分で行けるのに、電車で行こうと思うと、駅まで歩いて、乗って、乗り換えて、乗って、また歩いて、と1時間ぐらいかかってしまうことがありますよね。そうすると、その分他の仕事が遅れて、帰るのも遅くなって・・・と影響してくるので、時間がもったいないと思っちゃうんです。限りある時間を大切に、豊かに使って行くためにもタクシーをうまく活用しています。

あらためて振り返ってみると、結構使っている方かもしれないですね。

伊野亘輝さん

Q. タクシーの車内ではパソコンを開いて仕事をしたりしていますか?

何もしません。ぼんやりしています。
その点で、最近のタクシーの乗務員の方って、こっちの気配も感じてくれる方が多いなと思っています。昔は結構話しかけられた気がするんですけど、最近は黙ってくれているなあって。

Q. 伊野さんお察しの通り、日本交通では、お客様に快適な時間を過ごしていただくために、乗務員からはお客様にむやみに話かけないようにしているそうですよ。

伊野亘輝さん

日本交通のタクシー乗務員用スタンダードマニュアル

やはりそうなんですね。僕の中では美容院と感覚が似ているんです。髪を切ってもらっている間、一人でボーッとしていたいのに、ずっと話しかけられたら嫌じゃないですか。タクシーも同じで、こっちが話しかけた時には答えてほしいんですけど、一人でボーッとしていたい時には放っておいてほしい。

その感じが、最近は昔よりもすごく洗練されている気がします。

僕にとっては、シートの良さとか乗り心地よりも、乗っている時間がどういう時間になるのか、ということの方が気になりますね。

伊野亘輝さん

伊野 亘輝
ROLLCAKE株式会社 CXO
立教大学経済学部卒業。WEBやアプリのデザイン経験を経て、2012年クックパッド入社。クックパッドのiPhoneアプリのリニューアルを担当した後、2013年11月に独立。「子どもたちの『いま』を形に残し、宝ものにしたい」という思いからROLLCAKE株式会社を設立、「ALBUS」「レター」をリリース。「ALBUS」は子育てをするパパ・ママから高い支持を得ている。

写真: 鈴木智哉 文:平地紘子(mugichocolate株式会社)

伊野亘輝さん

※新型コロナウイルス感染予防対策を徹底の上、インタビュー・撮影を行いました。
撮影時のみ一時的にマスクを外しています。

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