タクシーの安全な運行を支えているのは、乗務員はもちろん、車両に不具合がないか点検している整備士もそのひとり。今回は日本交通 板橋営業所に隣接する整備工場へ!タクシーを裏側でサポートしている整備士の土居悠隼さんに、日々の業務や仕事のやりがいについて伺いました。

小さい頃からクルマ好き、自然と整備士に

Q.はじめに、土居さんが「整備士」を志したきっかけを教えてください。

子どもの頃からミニカーで遊んだり、車のプラモデルを作ったり、車の絵を描いたり…車が好きだったので、車に携わる仕事をしたいと思っていました。自動車整備の専門学校を卒業してから約8年、ずっと整備士をやっています。

Q.整備士になるべくしてなったのですね!どんな車が好きなんですか?

特にスポーツカーが好きです。子どもの頃に集めていたミニカーでお気に入りのスポーツカーは今でも大切にコレクションしています。

安全なタクシーのために、日々車両の点検を

Q.普段、整備士としてどんなお仕事をされていますか?

メインはタクシー車両の「定期整備」です。タクシーは3ヵ月毎と1年毎にそれぞれ点検することが義務付けられていて、エンジンオイルを交換したり、タイヤやブレーキの状態を確認するなどチェック項目に沿って点検します。多い時で一日に20台程度の定期整備をおこない、その他には「車検整備」、タイヤのパンクなどの不具合に対応する「臨時整備」、新しい車両を導入する際の「新車装備」などをやっています。

Q.安全のために、正確さや緻密さが求められると思いますが、整備士として土居さんが日頃から心がけていることはありますか?

タクシーの安全に関わりミスがあってはならないので、緊張感と責任感を持って仕事をしています。整備内容によっては作業した整備士以外の人がもう一度チェックすると決まっているものもありますが、自分が締めたネジは最後にもう一度自分で締め直して確認する、チェックシートに記入漏れがないか今一度見直すなど自分自身でもダブルチェックを心がけています。

Q.やりがいのある作業、好きな作業は何ですか?

「新車装備」です!日本交通で新しいタクシー車両を導入するときにおこなう作業なのですが、新車にステッカーを貼ったり、行灯や料金メーターなどタクシー特有の装備品を取り付けます。丸2日くらい時間を要するのですが、一台の車をまっさらな状態から自分でタクシーに作り上げていくので達成感があります。ドア4枚に大きなステッカーを貼り付ける作業があるのですが、シワやゆがみなくキレイに貼れたときは嬉しいですね。

Q.では逆に、大変だったことや苦労されたことはありますか?

いわゆる「重整備」と言われる、時間がかかる作業が時々あります。エンジンの深い部分まで細かく分解して、部品を交換する作業は難しさもあります…ただ分からないことがあれば先輩方が丁寧に教えてくれますし、たくさんの部品を分解してまた組み直す工程はやりがいもあります。基本的に車に触れていることが楽しいので、実は重整備も好きな作業です。

長く活躍できる場所として選んだ職場

Q.大変な仕事さえ好きと思えるとは…天職ですね!オンタイムは車ひと筋だと思いますが、休日のリフレッシュ法は?

自分の車でドライブしています。特に箱根などの山道を走るのが好きです。休日に自分の車の整備をすることもありますし、オンオフ問わず、車が好きなんです。

Q.整備士の仕事の中でも「日本交通」を選んだ理由は?

以前は別の会社で自動車整備の仕事をしていたのですが、故障や不具合など突発的な対応も多かったので、日によって作業が回らないこともありました…。日本交通は自社のタクシー車両のみを扱っていて、定期整備を中心に一日の整備スケジュールが組まれているので、スムーズに作業することができます。勤務時間も7時から16時と決まっていて残業もほぼないので、健康的に長く働くことができると思い転職しました。整備工場は年中無休なので、土日休みではありませんが希望すれば聞き入れてもらえますし、平日休みもドライブ好きには道路が空いていて最高!そこも気に入っているところです。

Q.土居さんの今後の目標を教えてください!

まだこの営業所にきて半年しか経っていないので、まずは日々の業務をミスなくこなすことです。顔なじみの乗務員さんも少ないので、タクシー車両に何か不具合があった時に直接相談してもらえるような、信頼感のある整備士になりたいと思っています。

整備工場で普段の業務について丁寧に教えてくださった土居さん。その眼差しや背中から“クルマ好き”ということが伝わり、とても生き生きと働く姿が印象的でした。

写真:長原慎一 文:須田萌子