ママたちに大人気！洗濯しながらベビーカーでも集える喫茶ランドリーって？

東京・墨田区千歳の住宅街にある喫茶ランドリーは、洗濯機・乾燥機やミシン・アイロン、お裁縫箱や編み物道具まで備えた「まちの家事室」付きの喫茶店。ベビーカー、車椅子、ペットも気軽に入店でき、まちに暮らすあまねく人々に来ていただける「私設公民館」のような場所になれば、という想いでつくられました。

今回は、喫茶ランドリーを企画・設計・運営している株式会社グランドレベルの大西正紀さんにお話を伺いました。

-デンマークのランドリーカフェに感銘を受けて

喫茶ランドリーは、築60年近いビルの1Fにあり、元々は手袋の梱包作業場でした。リノベーションする際に1Fをどうしたらよいかと相談され、デンマークへ旅行した際に出会ったコペンハーゲンのランドリーカフェを思い出しました。そこでは、おじいちゃんがコーヒーを飲む傍で、洗濯をしながら赤ちゃんをあやすお母さんがいたり、その横では大学生たちが宿題をしていました。老若男女が思い思いに日常を過ごしている空気感がすごく素敵で、日本にもこんな場所があったらいいなと考えました。最初は自分たちが運営する予定ではなかったのですが、紆余曲折あって、「どんな人にも自由なくつろぎ」をコンセプトとした、喫茶ランドリーが誕生しました。

-ふだんお客さまはどんな風に過ごされていますか？

ママと赤ちゃんだらけの日もあったり、リモートワーカーが多い日もあります。半地下のもぐら席でデートをしているカップルもいれば、お店の前のベンチに腰掛けて一人でぼーっとしているおじさんもいます。近くのまちの集会場で町会の集会があったときなどは、地域のご婦人たちが立ち寄ってくださいます。コーヒーやビールを飲んだり、カレーやケーキを食べたり、洗濯を待ちながら本を読んだり、皆さん、気ままに過ごされています。

イベントスペースとして貸し出しすることも多く、ライブやママ会のほか、お子さんの学校用のバッグなどを、近所の裁縫が得意なおばちゃんに教わって、みんなでワイワイミシンで縫ったり。パンづくりの会では、店にオーブンがないので、パンを捏ねてから近所のママ友の家のオーブンで焼かせてもらって（笑）みんなで食べたり、お裾分けしたりしていました。

-おすすめの喫茶メニューを教えてください

ドリンクでは、なんといってもビールサーバーからお客様にセルフで入れていただく4種のクラフトビール。あと手作りクラフトコーラ、子ども用の小さいジュース（200円※取材時）も。

クラフトビールは4種類から選べます

当初、お店はスタッフがひとりもいない状態からスタートしました。そのとき、ご近所のママさんがケーキをつくってきてくださって、即スタッフとして採用。それから、彼女がほぼすべてのメニューを発案して手作りでつくってくれています。今、フードの一番人気は、10種類以上の季節の野菜からつくるオリジナルの無水カレーです。しっとりした食感のチーズケーキもおすすめですね。

オリジナルの喫ラカレーとチーズケーキとこどもジュース

-スタッフはご近所のママさんたち

スタッフは基本ご近所のママさんたちが多いです。最近は常連さんがスタッフになるようなこともでてきました。とにかくスタッフはみんなご近所のフレンドリーな方ばかりで。喫茶ランドリーでは、敢えてマニュアルは設けていません。大切なのは、お店の人になるのではなく、あくまで「○○さん」でいること。その人なりのお客さんとのコミュニケーションや視点があれば、お客さんとお店、お客さんとスタッフの距離がより馴染んでいくんです。
なかなか難しいかもしれませんが、タクシーの乗務員さんもマニュアルがないと楽しそうですね（笑）