タクシーに乗ると、ホッとしたり、笑顔になれたりすることがあります。
それは、タクシーがただ目的地に連れて行ってくれるだけの乗り物ではなく、人が創り出すサービスであるからこそ。今回は、乗務員の視点からタクシーを掘り下げます。キッズタクシー乗務員、飛田尚子さんのタクシーライフとは?
「 女性で良かった、と言ってもらえると嬉しくなります 」
Qタクシーの乗務員をしていて、女性で良かったなと思うことはありますか?
お客さんが乗車して、乗務員が女性だと気づくと「ああ、女性なんだ」と微笑んでくれることがわりと良くあるんです。そうすると接客もしやすくなりますし、「女の人で良かった」とおっしゃってもらえると、安心して運転することができます。
また、お子様をご自宅まで送って行った時に、出てきたお母様が「女性だったのね。良かったわね」と言ってくださることもあります。女性だからこそ、お子様やお母さまにも安心感を与えられているんだな、
と感じられて嬉しいです。
Q.お子様を自宅まで送られるとのことですが、飛田さんは、“キッズタクシー”の乗務員としても選任されたそうですね。
はい、今年からキッズタクシーの乗務員になりました。キッズタクシーは、学校の塾の送り迎えや産後の退院など、お子様の移動をサポートするタクシーサービスです。学校から塾へ行く時、塾から自宅に帰る時にお子様一人で乗られる方もいますし、産後検診に行く時に利用される方も多いです。小学校低学年ぐらいのお子様だと、こちらが心を開いて「今日は学校で何があったの?」と話しかけたりすると、いろいろとしゃべってくれます。
先日も、ゲームに出てくる強い武器の話をたくさんしてくれる子がいました。私は知らないゲームでしたが、「その武器が一番強いの?」とか、ゲームを知らなくてもできるような質問を返しながら、楽しく会話することができました。
「 お子様を乗せるからこそ、いつも以上に安全運転 」
Qなぜ、キッズタクシーの乗務員になろうと思ったのでしょうか?
ドライバーとしてレベルを上げたいと思ったからです。
日本交通には、通常のタクシーのほかに、E D S(エキスパート・ドライバー・サービス)として、キッズタクシー、観光タクシー、サポートタクシーがあります。その中でどれが向いてるかなと考えた時に、キッズが一番自分に合ってると思ったんです。もともとお子様が好きですし、手前味噌ですけど「運転うまいね」と褒めてもらえることも多いので、新生児やお子様の命を預かるキッズタクシーでこそ、生かせると思いました。
Q.キッズタクシーの乗務員として心がけていることがあれば教えてください。
新生児やお子様を乗せるので、いつも以上に急ブレーキや急発進に気をつけて、安全な運転を心がけています。キッズドライバーになるにあたり、小児救命講習を受け、子どもの応急手当てや心臓マッサージなども学びました。
「 いずれは広報でも活躍したい 」
Q.これからの目標を教えてください。
今はまだキッズタクシーの乗務員になりたてなので、今後、新卒の乗務員さんがキッズタクシーを目指したいと思った時に、お手本となるような乗務員になるのが当面の目標です。親御さんは皆さんがそうだと思いますが、キッズタクシーの乗務員をしていると、本当にお子様を大切にしているんだなと感じる場面がよくあります。例えば、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せる時の仕草一つを見ても、お子様がどんなに大事かがよくわかります。なので、大事なお子様が事故にあったり、ケガをしないように、これからもキッズタクシー専門の乗務員として安全に送迎したいと思います。
Q.広報という夢も、まだ持ち続けていますか?
はい。いずれは広報の仕事もやりたいと思っています。広報の経験がある先輩に、どうやったら広報で働けるかを聞いたら、「広報は会社のことをいろいろ知って発信していく仕事だから、まずは社内でいろんな仕事を経験するといいよ」と教えてもらいました。なので、まずはいろいろな経験をしていきたいと思います。そして、キッズタクシーもそのための大事な経験の一つだと思うので、日々、真摯に仕事に取り組んでいきたいと思います。
飛田尚子
日本交通株式会社 タクシー乗務員/EDSキッズタクシー乗務員
2018年入社
文:平地紘子