津田優太郎さん

都内を走る日本交通のタクシーは約5,000台。そのうちたった7台しか存在しない激レアな「幸運のタクシー」をご存知でしょうか。このタクシーの乗務員である津田優太郎さんに、乗務員としての心がけや、仕事のやりがいについて話を聞きました。

2020年 日本交通入社
2022年 幸運のタクシーの乗務員に就任

どんなときも目標があると頑張れる

津田優太郎さん

Q. タクシー乗務員という仕事を選んだ理由を教えてください。

もともとは旅行業を志望していたのですが、日本交通のサービスのひとつに「東京観光タクシー」というものがあることを知り、このとき初めて “タクシー乗務員” という仕事に興味がわきました。しかも日本交通は業界大手の会社であることがわかり、次第に “ここで働きたい” と思う気持ちが強くなり、入社に至りました。

Q. では、最初は「東京観光タクシー」の乗務員を志望されていたのですね。

そうなんです。ですが入社時はコロナ禍まっ只中。観光のニーズが著しく下がったことから、一旦は、別の道を目指すことにしました。

Q. どのような目標に切り替えたのですか?

日本交通の最高位乗務員の一つである「スリースター乗務員」になることを、日々のモチベーションにしました。この「スリースター乗務員」は、より高いスキルとホスピタリティを認められたサービスリーダーに与えられる、日本交通の独自の乗務員キャリアです。ゴールド乗務員※が、さらに厳しい基準をクリアし、社内推薦を受け、任命されます。今日、明日頑張れば取得できるものではなく、日ごろの行いがものを言う、そんなところにやりがいを感じたんです。任命してもらえた時は、すごく嬉しくて。スリースターのマークが入ったネクタイとバッジを身につけるようになってからは、この称号に恥じないようにという思いも、日々のモチベーションになっています。

※ゴールド乗務員とは、金色行灯のタクシーを運転する、社内基準を満たした優良乗務員のこと。

お客様とのなにげないやりとりが、日々のモチベーションに

Q. 初めて乗務に取り組んだときは、いかがでしたか。

出身が福岡県で、東京の道に詳しくなくて不安だったんですが、最初に「申し訳ございませんが、道のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか」と、丁重にお客様にお尋ねすると、皆様とてもやさしくて。丁寧に道案内をしてくださった上にチップまでいただいたことがあり、そのお心遣いにとても感動しました。

Q. お客様とのやりとりが、モチベーションになるんですね。

まさしく。たとえば、ご乗車の際には「車内が暑すぎたり、寒すぎたりしたらお声がけください」と、お伝えするようにしているのですが、降車時に「最初にそう言ってくれて、話しやすかった」と、お言葉をいただくたびに、お声がけの大事さを痛感したり。自分としても嬉しいから、もっと頑張ろうと思う。それが日々の喜びになるんです。

津田優太郎さん

Q. いろいろなお客様に対応するのは難しくないですか。

お客様の状況に応じて必要なときだけ会話をするよう心がけています。たとえば羽田空港から観光目的で乗車された方には、東京の魅力や、観光スポットをお伝えしたり。単なる移動の時間が、有意義なものになると嬉しいです。

「幸運のタクシー」に乗務できる“特別感”を大切にしたい

Q. 現在は、「幸運のタクシー」に乗務されているのですか。

はい、桜色行灯の「幸運のタクシー」に乗務することになったのも2022年から。日本交通のタクシーは都内に約5,000台あるのですが、その中で桜色行灯のタクシーは7台だけ。一日中、道路を走っている僕でも、一日に1回見られたらラッキーというくらいの珍しさで、他の桜色の行灯を見かけたときは、「お、桜色行灯! 」と嬉しくなります。

津田優太郎さん

Q. 「幸運のタクシー」ならではの印象的なエピソードはありますか。

お客様の降車時にツーショット写真を撮ったことでしょうか。お客様が車内の様子や、ご乗車の証にお渡ししている「記念乗車証」を写真に撮ってSNSにアップされるということは、わりと頻繁にあることなんですが、「一緒に撮りましょう」と言われたことは初めてで。通常のタクシーではありえないことなので、とても驚きました。

Q. 気持ちが引き締まりますね。

そうなんですよ。「幸運のタクシー」という特別な車両を運転しているからこそ、“いつも以上に気をつけないと”と、いい意味でのプレッシャーになっています。それに自分としても、このような体験をさせてもらえて、それこそラッキーだなと思っているんです。

Q. みんながハッピーで、まさに幸運のタクシー!

ひとつのエンターテインメントとして楽しんでいただけるととても嬉しいです。

頼りにされる乗務員を目指したい

Q. 気軽に楽しく乗っていただけると嬉しいですね。

ほんとうに。でも入社前の僕がそうであったように、中にはタクシーに乗車することをためらってしまう人もいると思うんです。ときどき「近い距離だけどごめんね」と言われることもあって。でも乗務員からすると、距離に関係なく、お乗りいただけることがとても嬉しい。必要としてくださり、それに対して料金を頂いていることには変わりありませんから。暑さや寒さ、荷物の重さなどで、ちょっと歩くのがしんどいなぁというときにこそ、気軽にご利用ください。

津田優太郎さん

Q. 最後に津田さんの今後の展望を教えてください。

もともとの夢であった「東京観光タクシー」の乗務員にチャレンジしたいです。あとはもっともっと経験を重ねて、社内でも、お客様にも頼りにされる乗務員を目指したいと思っています。

津田優太郎さん

  • 津田 優太郎
  • Tsuda Yutaro
  • 入社年:2020年

写真:長原慎一 文:多田千里