西麻布の日本料理店「おおつかようすけ」の店主・料理人のおおつかようすけさんは、何よりもお客様のことを大切に考え、日々、一つ一つのおもてなしに全力を尽くしています。料理人としてご自身のこだわりやホスピタリティについてお聞かせいただきます。
「 お客様に安心して過ごしていただくには
完全紹介制がベストな方法 」
Q. お客様を1日6名、そして完全紹介制に限定しているそうですが、理由をお聞かせいただけますか。
一番は、お客様を大切にしたいという思いからです。当店には、大切なお客様をお連れになる方々が多くいらっしゃいます。そのお客様にも、お連れになる方にも安心して時間を過ごしていただくためには、紹介制がベストだと思いました。
Q. 不躾な質問ですが、お客様の数を限ると経営的にはなかなか厳しい面もあるのかなと思うのですが。
最初は私もそこをすごく心配していたのですが、いつもいらっしゃるお客様がしっかりと支えて下さっているので、心配なくお店を続けることができています。
Q. 日本料理ということですが、お店のこだわりや売りについて教えてください。
家庭的な料理と、普段ご家庭では食べられないような料理を合わせたようなコースをお出ししています。家庭料理だと、それこそ家庭でも食べられるものになってしまいますし、逆に家庭では食べられない料理ですと、お出ししているお店はたくさんあります。
週に２回通って下さる方もいらっしゃるので、その中間のような位置付けですね。
Q. お客様の好みもすべて把握されているそうですが、どうやって把握するのでしょうか。
お客様同士の何気ない会話から「こういうものがお好きかな」と判断するようにしています。例えば「先日、◎◎に行ったんだけど、あれがすごくおいしかったよ」などと盛り上がっていらっしゃったら 「ああ、そういうものが好きなのかな」と感じ取っていきます。
お客様に喜んでいただくために、新しく連れて来られるお客様の出身地をあらかじめお聞きして、出身地の食材で作るようにもしています。
「 お客様の会話を優先するあまり、『料理をプレゼンしなさい』と
お叱りを受けることも(笑) 」
Q. プライベートでタクシーを利用される時、いつも日本交通を選ばれているとお聞きしました。
はい、不特定多数の方が乗車する地下鉄やバスでの移動は避けるようにしているので、移動はすべて日本交通のタクシーです。換気もしっかりしているので、安心して移動できる点が大きいです。
もう一つの理由は、乗務員の方が必要最低限のことしか話されないことです。話しかけられたくない時、一人で静かに考えにふけっていたい時もあるのですが、日本交通の乗務員の方はこちらから声をかけない限り、話しかけて来ません。それがすごく徹底されていると感じます。
Q. 日本交通では、お客様に快適な時間を過ごしていただくために、乗務員からはお客様にむやみに話かけないようにしているそうですよ。
やはりそうですか。私自身、接客においてはお客様の時間を邪魔しない、ということを一番大切にしているので、ものすごく共感します。
お客様の会話を優先していただくために、お話が盛り上がっている際はお料理の説明をせずにお出しすることもありますが、お客様からは「プレゼンテーションしなさい」とお叱りを受けることもございます（笑）お客様の会話を途切れさせたり、割り込んだりするようなことはしないようにしています。
大塚洋典（おおつか ようすけ）
「日本料理おおつかようすけ」店主。福岡県久留米市生まれ。
2015年、西麻布に店舗をオープン、2016年12月に現在の場所に移転。
季節と産地にこだわった上質な食材を活かしたシンプルな日本料理をひとりひとりのお客様に愛情込めてお出しする姿勢がファンから熱い支持を得ている。お店は完全紹介制。
写真： 鈴木智哉 文：平地紘子（mugichocolate株式会社）
※新型コロナウイルス感染予防対策を徹底の上、インタビュー・撮影を行いました。
撮影時のみ一時的にマスクを外しています。
