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タクシーに乗ると、ホッとしたり、笑顔になれたりすることがあります。
それは、タクシーがただ目的地に連れて行ってくれるだけの乗り物ではなく、人が創り出すサービスであるからこそ。今回は、乗務員の視点からタクシーを掘り下げます。
入社2年目のタクシー乗務員、飛田尚子さんのタクシーライフとは?

「 人の良さに惹かれて、乗務員になることを決めました 」

Q女性のタクシー乗務員はまだまだ少ないですが、最初からタクシーの乗務員になろうと思っていましたか?

私は文章を書くのが好きなので、最初はメディア関係の仕事をしたいと思っていました。新聞社や出版社を目指していたのですが、実際に就職活動がスタートしてみるとなかなか狭き門でしたね。大学の先輩に相談してみたら「会社の広報の仕事も見てみたらどう?」とアドバイスをもらったんです。そして、就活サイトで広報の仕事を調べている時に、日本交通を見つけました。

Q.広報の仕事を探していたのに、タクシー乗務員になったのはなぜですか?

日本交通について知った時に、「そういえば、私は車を運転するのも好きだな」と気づいたんです。それで面接に行ってみたら、一方的に質問するだけでなくこちらの質問を促してくれたり、学生と対話しようという誠実な姿が印象的で、すごく好感が持てたんです。面接官だけでなく、人事の方や営業所見学で同乗させてもらった乗務員の方もすごく人が良かったので、入社を決めました。

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「 道が分からず、お客さんが降りてしまったことも 」

Q.入社した後、乗務員の仕事にはすぐに慣れましたか?

乗務員は1日働いたら翌日は休み、というシフトなので最初は慣れるのが大変でした。道が全然分からなかったので、お客さんに目的地を告げられてとっさに答えられず、お客さんが「じゃあいいや」と降りてしまったこともありました。接客にも慣れていなかったので「今の対応で良かったのかな」と迷ったりもしましたね。
乗務を続けるうちに、「このお客さんは喋りたい人だな」とか、「そっとしてほしいみたいだな」とか、お客さんの雰囲気でつかめるようになってきました。道についても、営業が終わった後にその日初めて知った道は必ず地図で確認するようにして、だんだん覚えていきました。

Q.お昼やトイレ休憩は、どうしていますか?

郊外にいる時なら、駐車場のあるコンビニに停めて車の中で食べることが多いです。コンビニはトイレもありますしね。都心部だと、タクシーが駐車できる場所に停めて、食べに行ったりしています。
トイレも、どこにあるかをだいたい把握しているので、近くまで行った時に寄るようにしています。

「 女性は運転が下手だと言っていたお客さんが、最後には…… 」

Q.入社してから2年近くタクシーを運転している中で、印象に残っているエピソードがあれば
教えてください。

一度、お客さんから「女性だから運転が下手なんじゃないの?」と言われたことがあります。
その時私は、プロとしていつも以上に安全運転を心がけ、目的地までお客様を無事にお届けしました。
そうしたらお客様が最終的にはすごく満足してくれて、「運転上手だったね。チップあげる」と言って、
チップをくれたんです。チップをもらうことはたまにありますが、あの時はものすごく嬉しかったですね。

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