日々の移動をはじめ、お買物や観光の付き添いなど、ご高齢の方やお体が不自由な方をサポートする日本交通の「サポートタクシー」。介護職員初任者研修を受けた乗務員が、お客さまの“やってみたいこと”の実現をお手伝いしています。

今回は夏休みの旅行中にサポートタクシーを利用した、普段車いすで生活している中学生の篤宣くんとご家族にインタビュー。担当した乗務員の秋山さんも交え、東京で巡ったスポットやその時のエピソード、サポートタクシーを利用した感想を伺いました。

夏休みの東京旅行中に、東京駅前で記念撮影をする、普段車いすで生活している中学生の坂本篤宣くん
篤宣くんとお父さんの記念写真は秋山乗務員が撮影


夏休みの東京旅行中に、サポートタクシーを3日利用

–はじめに、利用したシーンについて教えてください。

篤宣くん:今年の7月下旬に香川県から東京へ、父と母、妹と家族旅行した時に3日間利用しました。行き帰りに羽田空港までの送迎もお願いしたのですが、滞在中の1日は父といっしょにサポートタクシーで東京観光を楽しみました。

–「サポートタクシー」のことは知っていましたか?

お父さん:サービスについては知らなかったのですが、今回旅行するにあたって、東京に住んでいる妻の親戚が紹介してくれました。

行きたい場所を事前にリクエスト!自分好みのコースを観光

–東京観光では、どちらに行かれたのでしょうか?

篤宣くん:朝、浅草橋のホテルに迎えに来てもらって、まず「警察博物館」へ。その後は高速バスが見たかったので「バスタ新宿」、そして「消防博物館」に行きました。そのほか移動中にもタクシーで東京の名所をたくさん案内してもらいました。

–目的地は乗り物に関連するスポットが多いですね!篤宣くんがリクエストされたんですか?

篤宣くん:はい!僕が行ってみたいところと、タクシーから降りなくても見てみたいところ、父が見たい場所などを事前に乗務員の秋山さんに伝えて、希望に合わせたルートを作ってもらいました。

秋山さん:時間内で効率よく巡れるコースを考えました。警察博物館は、私は行ったことがなかったので休日に下調べに行きました。車いすでスムーズに移動できるよう、どこにスロープがあるのか、館内を見学するのにどれくらい時間がかかるかなども確認しておきたかったんです。本当は当日館内にも同行する予定だったのですが、駐車場の関係でご案内できなかったのが残念でした…。

–「警察博物館」は行ってみてどうでしたか?

篤宣くん:警察のことについて学べただけでなく、ピーポくんに兄弟がいたことも知れたり面白い発見もありました。館内は見学しやすくて、時間もしっかりとってもらえたので十分楽しめました。

警察博物館の前でパトカーと記念撮影をする、普段車いすで生活している中学生の篤宣くんとお父さん
警察博物館前に展示してあるパトカーとピーポくんファミリー

–次は「バスタ新宿」をリクエストされたそうですね!バスもお好きなんですか?

篤宣くん:高速バスが大好きで、バスがひたすら行き交う動画を1時間半くらい撮りました。バスのデザインもたくさんあって、香川で高速バスというと行き先が「東京」しかないのですが、バスタ新宿なら東北や関西など行き先もさまざまで新鮮でした。

普段車いすで生活している中学生の坂本篤宣くんが、夏休みの東京旅行中に撮影したバスタ新宿の大型バス
バスタ新宿で篤宣くんが撮影した高速バス

–途中で東京のおいしいものは食べましたか?

篤宣くん:秋山さんが事前にいろいろとお店を調べてくださって、ハンバーガーをおすすめしてくれたんですが…バスの動画をどうしても撮りたくて、バスタ新宿のコンビニでおにぎりを買って食べました。

秋山さん:お父さまからお昼ごはんにどこかおいしいものを…とリクエストいただいて、車いすでも入店できるバリアフリーのレストランをいくつか探しハンバーガーショップを提案させていただいたんですが…バスを撮りたい篤宣くんの熱い想いが勝ちましたね(笑)

お母さん:秋山さんがとても親しみやすい方だったから、自分のリクエストをはっきり伝えられたのだと思います。私はサポートタクシーに同行していないですが、その話を聞いて全体の雰囲気の良さも伝わってきました。

–おにぎり片手に心ゆくまでバスの動画を撮って、次の目的地「消防博物館」に行かれたんですね!

秋山さん:新宿から四谷への移動だったので、途中都庁や歌舞伎町などもぐるっと一周巡ってからご案内しました。

消防博物館のヘリコプター前で記念撮影をする、普段車いすで生活している中学生の坂本篤宣くんとお父さん

篤宣くん:消防博物館では水難救助隊の企画展をやっていたのが印象的でした。見学した後は東京駅や桜田門をタクシーで通ってもらい、別行動していた母と妹と合流しました。

東京駅前で記念撮影をする、普段車いすで生活している中学生の坂本篤宣くん

下調べからお店の付き添いまでサポートしてもらえた

–サポートタクシーを利用されて印象的だったことは?

お父さん:夕食は家族みんなで浅草橋のレストランに行ったのですが、階段が急なお店で2階に上がるのに、秋山さんが介助してくださってとても助かりました。タクシーの運転だけではなく、お店の付き添いや移動などタクシーを降りてからもきめ細かくサポートしていただいたので、心から旅行を楽しめたと思っています。

篤宣くん:東京の有名なところに連れて行ってくれるだけではなく、その場所について解説していただけたのがうれしかったです。新しい発見もあって楽しかったです。

秋山さん:篤宣くんは東京の地理や歴史にも詳しいのでプレッシャーを感じていましたよ(笑)。ほんとうは私が得意としている東京タワーもご案内したかったんですが、今回は時間がなくて…次回機会があったらぜひ案内させてくださいね。

お母さん:車いすで旅行すると不便さを感じたり、我慢することもあったり、行き先についても事前に色々と情報を集めるのですが、今回は秋山さんが下見に行ってくださっていたり、バリアフリーのお店を調べてくださっていてうれしかったですね。

日本交通サポートタクシー乗務員の秋山さんと普段車いすで生活している中学生の坂本篤宣くんとお父さんの記念写真
秋山乗務員と篤宣くん、お父さんの記念写真


–逆に改善されたらよいと思ったところはありますか?

お母さん:車両の大きさの問題かもしれませんが、JPN TAXI(ジャパンタクシー)には車いすの人とプラス1人しか乗れないので、そこが改善されれば家族みんなで楽しめるようになるので良いと感じました。。我が家は子どもたちが大きいので分かれて行けますが、もっと子どもが小さかったりすると現状では難しいかなと思います。

秋山さん:そうですね。もう少し人数が乗れたらというお声はいただくので、大型車両を運転できる技術を含め、我々としても今後検討していかなければならないと思っています。

お母さん:サポートタクシーのことではありませんが、車いすでJPN TAXI(ジャパンタクシー)に乗車する時、乗務員さんの中には助手席の倒し方を知らない方もいらっしゃいます。親がやり方を覚えていれば問題ないという結論には至っているんですが…

秋山さん:そういう場合もあるんですね。日本交通では全乗務員に乗降訓練を行っています。さらにサポートタクシーに関しては、スポーツ用の車いすやリクライニング式の車いすなど、さまざまな種類の車いすにも対応できるよう、乗務員同士で勉強会を開いて知識を深めたり、日々練習を重ねているのでご安心ください!

今後はお子さまが一人でも安心して乗車していただけるサポートタクシーを目指したいと思っています。車いすでも諦めずに行きたい場所をリクエストしていただき、心から楽しんでもらえるように、お客さまひとりひとりのご希望を叶えていきたいです。

タクシーの前でサポートタクシーのマグネットを持つ、日本交通サポートタクシーの秋山乗務員が優しく微笑んでいるシーン
日本交通サポートタクシー秋山乗務員



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https://www.nikkotaxi.jp/care/about

文:須田萌子