小児科オンラインの代表として活躍中の橋本直也さんが、小児科医として妊婦さんやお父さん・お母さんにお勧めしたいタクシーライフとは。
「 コロナ禍の小児との外出では、タクシーも選択肢のひとつ 」
Q. 新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出されていたころ、外来や小児科オンラインでお父さん、お母さんたちに変化を感じたことはありますか?
まず、外来に足を運ぶ人の数は半分程度に減りましたね。ちょっと鼻水が出てきたので念の為受診しました、という方は来なくなり、5日間熱が下がらなかったり、本当にしんどくて病院に行くしかない、という方が中心になりました。
一方で小児科オンラインには「自粛になってイライラしている子どもが急に爪をかみ始めました」「子どもが赤ちゃん返りみたいになっちゃったんですけど、どうしたらいいですか」といった相談がバンバン来るようになりました。命に関わらない日常の何気ないことや育児については、コロナ禍だからわざわざ病院に行きたくはない、でも、不安やストレスはあるからオンラインで聞こう、という方が多かったのだと思います。
赤ちゃんの集団検診が延期になってしまったり、離乳食教室が中止になったことで「発達が不安です」「離乳食の進め方が合っているか心配です」と言った相談も増えました。これまでの行政サービスは対面前提で作られてきたので、コロナで対面ができなくなった時にオンラインというセーフティーネットがあってよかったなと感じています。
Q. コロナが流行っているような状況では、やはりバスや地下鉄を使うよりも、タクシーで病院に行った方がいいですか?
それはもちろんそうですね。感染症は人が触れ合うからうつるので、できるだけ人との距離はとってほしいですし、タクシーのような個室空間の方が感染のリスクは低いと思います。
それに、具合が悪くない時でも、産後直後や0歳児のいる家庭では、家の中で子どもとずっと向き合っているのは結構辛いと思います。新型コロナの流行状況や家庭の事情の違いはあると思いますが、流行がある程度落ちついている状況であれば、時にはタクシーに乗ってソーシャルディスタンスの取れる場所に行き、ちょっと気晴らしをする、という選択肢もあることを、頭の片隅ででも覚えておいてもらえるといいかな、と思います。
「 妊婦も家族も安心できる、陣痛タクシー 」
Q. 小児科オンラインや産婦人科オンラインの利用者に優しい、陣痛タクシーやキッズタクシーといったサービスも増えていますが、使い方でアドバイスなどありますか。
小児科医の観点からすると、チャイルドシートをつけた状態で安全にタクシーに乗ってほしいと思います。道路交通法施行令ではタクシーはチャイルドシートの使用義務が免除されていますが、チャイルドシートが万が一の時にお子様の命を守るものだということは忘れないでほしいです。
もし、事前に外出の予定がわかっているなら、チャイルドシートを準備してもらえるキッズタクシーのようなサービスを活用してほしいですね。個人的な話になりますが、来月出産予定の姉は早い段階で陣痛タクシーに登録したと言っていました。旦那さんが海外赴任中なので、姉は一人妊婦なんです。だから家族としても、 陣痛タクシーに登録しておいてもらえると安心ですね。タクシーを上手に活用することで、妊娠・出産・子育ての時期を不安なく過ごしてほしいです。
Q. 最後に、橋本先生の今後のビジョンを教えてください。
やってみたいことはたくさんありますが、一つはオンライン相談を少しでも多くの人に高いクオリティで届けていくことです。そのためにも、今はすべて人がやっている相談を、ある程度機械化することも考えています。もちろん「話を聞いてほしい」という方からの相談など機械化に適していない相談もありますが、例えば「軟膏の塗り方のコツを知りたい」という質問のように、ある程度定型化可能な情報がほしいという方には、人の手を介さなくても対応できるのではと思うのです。
そうすることで、より多くの人に質の高い相談対応が実現できるようになるので、機械と人間の手の融合みたいなところにチャレンジしていきたいと思います!
橋本 直也
2009年日本大学医学部卒業。聖路加国際病院での初期研修、国立成育医療研究センターでの小児科研修 後、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修士課程修了。2015年より都内小児科クリニックにて 勤務しながら、株式会社Kids Public を設立。子育ての悩みや不安の多いパパママと子どもを守りたいという思いから遠隔健康医療相談サービス「小児科オンライン」をスタート。「産婦人科オンライン」、医療メディア「小児科オンラインジャーナル」「産婦人科オンラインジャーナル」「Kids Public Journal」な ど、インターネットを介した成育医療を提供している。取得資格は、小児科専門医、公衆衛生修士号。
小児科オンライン
文:平地紘子(mugichocolate株式会社)
※インタビューは2020年9月29日にオンラインにて行いました。