日本交通では、新卒で入社したフレッシュな新人乗務員が活躍しています。タクシー乗務員として社会人生活のスタートを切った若き乗務員たちは、お客様に快適で安全に乗車していただくために、日々考え、経験を糧にしながら運転・接客のプロを目指しています。
そんな彼らに、タクシー乗務員としての思いや日々のエピソードを聞いていきます。初回は、新卒採用による乗務員のみで構成される新規タクシー営業所として、2020年8月に誕生した「葛西営業所」の3人の新人乗務員です。
左から順番に、入社3年目の鯉沼修平(こいぬま しゅうへい)・入社2年目の長谷川大地(はせがわ だいち)・入社1年目の髙田理央(たかだ りお)
焦らず、平常心を保つことの大切さ
Q. 乗務員として日頃心がけていることやポリシーを聞かせていただけますか。
長谷川さん:常に平常心を保つことですね。迎車の時間がギリギリだったり、急いでいるお客様に信号が変わるタイミングで「行って!」と言われたりすることもあるんですが、焦って行動してしまうと絶対にいいことがありません。
Q. 私も、仕事に遅れそうで運転手さんを急かしたことが何度か・・・
長谷川さん:例えお客様が急いでいたとしても、幅がギリギリだなと思った時は車の外に出て確認したりと、乗務員の私が常に平常心を保つようにしています。
鯉沼さん:焦るとどうしても運転が荒くなりますから。それにイレギュラーって連鎖して悪い方へ、悪い方へと引っ張ってしまいがちなので、車を一度停車させてみるとか、いかに切り替えるかが大事だなと実感しています。
長谷川さん:感情をなくすというと言い過ぎですけど、それぐらい冷静に対処することを自分に言い聞かせています。
快適に乗車してほしいから、優しい停止、優しい発車
高田さん:僕は、信号などで停止する時にはとても気を遣って優しく停止し、加速する時も優しくスタートすることを心がけています。というのも、社会人になってからプライベートで乗った時に、荒い運転で嫌な気持ちになったことがあるんです。大学で取り組んでいた急ブレーキの研究を通じて、車はすぐには止まれないこともよく分かっているので、とにかく運転の優しさを心がけています。
Q. 利用者の一人としては、優しい運転はとても嬉しいです。運転が荒いと車酔いすることもありますから。
鯉沼さん:僕は毎日ルーティンを守ることで、安定した運転のペースを保つようにしています。朝起きてからの一つ一つの行動、営業所についてからの行動の順番と、乗車してからのルートも自分の中で決めているんです。
ルーティンが崩れた時には営業収入が落ち込んだり、前を走る車の危険運転で危ない目にあったりしたこともあるので、そこにはとてもこだわっています。
お客様の優しさが成長につながり、
「ありがとう」の声がやりがいとなる
Q. 日々、緊張感を保ちながらの乗務だとは思いますが、タクシーの乗務員としての一番のやりがいを教えてください。
鯉沼さん:いろいろな方に乗っていただいて、降りていく時に「ありがとう、助かったわ」と言ってもらえるのが一番嬉しいところですね。
長谷川さん:僕も急いでいるお客様をお乗せした際に、「タクシーを使って良かったよ」と言われると、役に立ったんだなと思えて嬉しいですね。時には「ありがとう」と言ってチップをいただくこともあります。
Q. 「ありがとう」の言葉が何よりなんですね。高田さんはどうですか?
高田さん:僕は乗務を始めて1年も経っていないので、まだまだわからない道もありますし、接客も2人に比べたら拙い部分があると思うんです。でも、「若いよね?」と聞かれた時に「新卒で入って、まだ22歳です」と答えると、道がわからない時でもお客様が快く教えてくれたりするんです。
お客様もいい人ばかりなんですよね。お客様に教えてもらいながら一つ一つ新しい場所を知っていくのも、やりがいの一つですね。
若い人が活躍し、若い人も乗れるタクシーにしたい
Q. 最後に、タクシーのこれからや自分のこれからについて、考えていることがあれば教えて下さい。
鯉沼さん:タクシーって、若い世代に対してもっとアピールできるものだと思うんです。
昔は“お高い乗り物”という印象もあったかもしれませんが、今は初乗りの値段も下がって乗りやすくなっています。学生や若い方がもっと使いやすくなるようなサービスを考えていきたいです。
長谷川さん:たしかに、若い人にとってタクシーは敷居が高いというか、乗りづらさがあるのかもしれないですね。でも、実際に乗務している僕たちからすると壁はないんですよ。若い人たちが感じている心理的なハードルを下げていけたらいいな、と思っています。
高田さん:地方出身なので、入社を決めた時に母親に心配されたんです。「大丈夫なの?」って。でも、地道な努力を続けて、お客様からも学ばせてもらっているという謙虚な気持ちを忘れなければ若くてもできるし、やりがいのある仕事だと思うんです。
そういったことを当事者である僕たちがアピールして、タクシー乗務員の高齢化という課題の解決につなげていくことができたらと思っています。
Q. 長時間のインタビューありがとうございました。まだ若い皆さんが一人前のタクシー乗務員としてお客様に見えないところで努力を重ねていることや自分に課していること、そしてプロとしての高い品質を保つための心構えのお話などが、とても印象に残りました。
タクシーに乗った時に若い乗務員の方に出会ったら、皆様から聞いた話を思い出しながらお話してみたいです。ぜひ、これからも頑張ってください。
- 鯉沼 修平
- Koinuma Shuhei
- 入社年:2018年
- 長谷川 大地
- Hasegawa Daichi
- 入社年:2019年
- 高田 理央
- Takada Rio
- 入社年:2020年
文:平地紘子(mugichocolate株式会社)